「熔ける」
幻冬舎文庫 (2017年) Kindle Unlimitedで読む
なぜこの本を読もうと思ったのか
井川意高さんの過激で、かなり挑発的なツイートがきっかけです。
サッカー・ワールドカップで日本のサポーターたちがごみ拾いをしていることに対して、井川さんはこうツイートしています。
こういうの
— 井川 意高 本アカ (@mototaka728) November 24, 2022
気持ち悪いから
やめて欲しい
ただの自己満足
掃除人の仕事を
奪ってる https://t.co/Jtyfja4y2t
気持ち悪いからやめてくれる? ただの自己満足。
井川さんが、どうして「気持ち悪いのか」、どうして反論してくる人たちを「バカ」呼ばわりしているのか知りたかったんです。まあ、正直に言うと、井川さんが気持ち悪いのは仕方のないことですが、賛同しない人たちを「バカ」とか「下々のもの」とか呼ぶのは見てて気持ちよいものではないです。
でも、何か人を引き付けるツイートもあるんですよ。ですから、ただ批判するのではなく、井川さんの言いたいことを、まず理解しておいた方がいいだろうと思ったのです。
あらすじ
第一章 極限
カジノのVIPルームで、大金を熔かす様子が克明に描かれています。普通の人には、あまり参考にならないですが、こんな世界があるのかという新鮮な驚き。
第二章 追憶
少年時代から東大法学部を経て、大王製紙へ。
第三章 邁進
赤字会社を再生させたり、合理的な経営を目指して成功していった経歴がまとめられています。
第四章 君臨
42歳で大王製紙社長に、そして会長に。
第五章 疼き
有名人との交友録。
第六章 放熱
再び、ギャンブルについてです。どのように種銭を作ったのかが面白いのですが、やはり普通の人には、全く参考にならないです。
第七章 熔解
個人では資金が足りず、子会社から借り入れるようになり、逮捕に至った経緯です。
第八章 灰燼
懲役四年の実刑判決とギャンブルについて。
第九章 下獄
刑務所内の様子です。
興味深い部分
井川意高さんがカジノで負けた総額は106億8000万円。三橋貴明さんのチャンネルで井川さんが「カジノでは大きく勝った人よりも、大きく負けた人の方が偉いんですよ」みたいなことを言ってましたが、この本を読むとカジノでは小金で遊ぶ客とVIPはそもそも入り口からして別々であることがわかります。そして、大きく負ける人にお金を貸して、もっと賭けさせる。これがカジノの経営戦略なんですね。大きく負けた人はカジノにそれだけ貢献しているのですから、勝つ人より当然、上得意です。
井川さんのビジネス感覚は参考になります。たとえば、
「5W1Hならぬ、5W2Hを心がけていた」という部分。
5Wとはwhen(いつ) where(どこで) who(だれが) what(何を) why(なぜ)そしてHはhow(どのように)ですが、井川さんはhowは具体的でなければならないと述べています。
つまりhow many(いくつ)how much(どれくらい)のように具体的な数値が必要だ、ということです。これはスモールビジネスでも大切なことです。
「5W1Hならぬ、5W2Hを心がけていた」という部分。
5Wとはwhen(いつ) where(どこで) who(だれが) what(何を) why(なぜ)そしてHはhow(どのように)ですが、井川さんはhowは具体的でなければならないと述べています。
つまりhow many(いくつ)how much(どれくらい)のように具体的な数値が必要だ、ということです。これはスモールビジネスでも大切なことです。
一般人と感覚がちがうのは仕方ない
本書と続編「熔ける 再び」を読むと、井川さんの感覚が一般人とちがうのは、ある意味、仕方のないことがよくわかります。生まれ育った境遇や持っている財産などからして、反論ツイートに返信するのも、本来なら、話をする機会もないやつに返信してやるよ、という気持ちなのでしょう。
本音で語るから誤解される
それを本音ときつい言葉でツイートするから、当然のごとく誤解されますね。まあ、本書を読むと、井川さんの言いたいことも、ある程度、理解できます。でも、やっぱりごみ拾いをしている人たちを「奴隷根性」と言うのは、ちょっと受け入れられませんけどね。
まあ、井川さんが経験した異次元の世界を覗けるという意味で、一読の価値はあります。
あと、本書と続編を読んだうえで、井川さんのツイートを読まないと、大やけどしますよ!
kindle Unlimitedなら無料で読めます。
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