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「世界一シンプルな書き方の教室」moon を読んで


著者 moon(ムーン)さん

1994年生まれ、長野県出身 現在、28歳。
ちなみに、わたし「ふきんとう」も長野県生まれです。

今回、レビューするのは「世界一シンプルな書き方の教室」Kindle Unlimited なら無料で読めます。内容はとても実践的なので、有料でも読む価値があります。
副題が「書きベタからの脱却。一生使える、究極の文章術」もみじ出版より

実践的な内容

全体的にわかりやすく実践的な内容です。
自己PR、履歴書、ブログなどの書き方を学びたい人におすすめです。
書きたいことを箇条書きにする、上手な人のまねをすることを勧めています。もちろん、盗作・コピペはダメです。文章の型や表現方法を参考にするということです。
基本パターンとして、PREP法をあげています。 
①Point 結論
②Reason 理由
③Example 具体例
④Point もう一度、結論

moon流! Empathy(エンパシー)法 

著者が編み出した共感を伝える型はとても参考になるので、以下引用します。

①おっ!と思わせる導入文を書く。とにかく惹きつける!
②「共感」する!「分かるよー」ということを全力で伝える。
③ターゲットを明らかにし、本文の内容を具体的に伝える
④具体的な内容を提示する。3つほど例を出すしたり、自分の体験を伝えたりするとGOOD!
⑤簡潔に概要をまとめる。
⑥また共感する。読後にモヤモヤしている人に向けて「大丈夫だよ」と伝える
⑦結びの一文。読んでくれたお礼や読者の未来を祈っていることを伝える文章を入れる。
                               ****引用ここまで

読者の持っている想いや悩みに共感すると、確かに読者はうれしくなります。それで「読み手がどんな思いを持っているかに気づくことがとても大切」ともmoonさんは強調していますね。

「伝わる文章」はラブレター

わたしが最後にラブレターを書いたのは、30年近く前のことです。
moonさんによれば、ラブレターを意識すると、「伝わる文章」になるんだそうです。
ホントかなーと読み進めたのですが、なるほどと感心しました。
以下引用ですが、ラブレターには次のような部分がありますよね。

「アツい想いを聞いて! 本当に君じゃなきゃだめなんだ!」
「君のことが気になった理由はこれだよ。僕にしか君を幸せに出来ないと思う」
「僕と付き合うとこんなメリットがあるよ。絶対に幸せに出来るよ」
「よかったら、付き合いませんか? 一生支えます」
                         ****引用ここまで
たしかに、たしかに。
もちろん、上のような熱い直接的な表現を使わずに、間接的な表現で恋心を伝えるという
高等戦術?もありますが、とりあえず上のような部分を含めて、対象を異性から読者・会社に変えれば応用できるというのは、その通りです。


moonさんは、江口香織さんの文章を7歳の時からまねしていたそうです。うーん。スタートが早い。

でも、この本を読めば、だれでも書くことが苦にならなくなるでしょう。
あなたもラブレターみたいな伝わる文章を書いてみませんか。

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