2020年12月30日第一刷発行
著者プロフィール
2017年「ふしぎな駄菓子屋」で作家デビュー
多数のショートショートを執筆。
人の温かさを伝えることをテーマとしている。
この本の要約
「小説の書き方」は教えることができません。面白い小説を書くには「書く」しかありません。つまり、下手でもなんでもいいので、とにかく書きなさい。書くことで、うまくなり面白い小説になっていきます。同時に、できることは「小説を読む」ことです。面白いと思ったら、この小説はなぜ面白いのかを考え、それを自分の創作に役立てるのです。小説をひたすら「書く」そして小説を上手に書くためにプロの書いた小説を「読む」。この二つをひたすら繰り返す。これだけです。
簡潔で、明快
これまで「小説の書き方」を教える本を何冊か読んできました。その中で、本作は最も簡潔で、明快です。小狐さんがショートショート作家であるということも関係しているでしょう。小説家を目指す人に大いに役立つはずです。方法論については、わかつきひかるさんの「人生経験を生かして小説家になろう!」がとても具体的で参考になります。
小説らしきものは書けるはず
自分は小説を読んだり、紹介したりするのは好きですが、これまで小説らしきものを書いたことは一度もありません。小説は物語とも言えますが、人は自分の想像で勝手に話を作ることがあるので、きっかけとかやる気があれば、小説のひとつくらいは書けるのではないかなと常々思っています。と言いつつ、まだ何も書いていないのですが、とりあえず小説家が「小説の書き方」について何と言っているのか知りたくなったのです。
著者の小狐裕介さんはショートショート作家です。前書きにあるように、この本は「小説を書く方法」は解説していません。理由は「小説の書き方」は教えられないからです。むしろ、「小説家を目指す上での心構え」のようなマインドが大切だと説いています。
確かにそうでしょうね。手取り足取り教えて身に付く技術とは明らかにちがうものでしょう。ですから、簡単そうに見えて、やはりかなり高度な知的作業なのだろうと考えてしまいます。このように、書く前から自分でハードルをあげてしまうと、何も書かないで時が過ぎていきます。
プロになれるかどうかではなく書くか書かないかだ
小説らしきものを書くということと「小説家になる」は次元が違います。将棋で言うと、自分は他の人が指しているのを見ているだけです。実戦をせずに、「相掛かりの指し方」の本を読んでいるようなものです。これでは上達のしようがありません。見よう見まねでも小説を書くということは、実際に盤上で駒を動かして、自分が対局することです。つまり、プロになるかどうかに関係なく、対局しなければ将棋は上達しません。小説も同じです。とにかく書かなければどうにもなりません。本作は小説を書くことに慣れたら、次にプロになるために何ができるかにまで話を進めています。小説家になることを将棋指しになることに例えてみましたが、どちらも狭き門であることは言うまでもありません。とりあえず、プロになれるかどうかの前に、「小説を書く」そこに尽きるでしょう。
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