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8月, 2022の投稿を表示しています

映画 堂堂たる人生 (1961) 石原裕次郎主演

Wolfgang Eckert による Pixabay からの画像 概要 原作 源氏鶏太 1961年公開の映画(日活) Prime videoなら無料で観られます。(Prime会員特典) 老田(おいた)玩具に勤める中部周平(石原裕次郎)と同僚の紺屋小助(長門裕之)の二人が可愛くてちょっと気の強い下町娘いさみ(芦川いづみ)と、苦難を切り抜けて会社の危機を救う様子を温かいユーモアで描く痛快作。 監督 牛原陽一 主演 石原裕次郎 (中部周平)    芦川いづみ (石岡いさみ)    長門裕之 (紺屋小助)    東野英次郎 (原大作)    中原早苗 (弘子)    宇野重吉(老田玩具社長)    藤村有弘(興和玩具支店長) あらすじ 老田玩具は倒産の危機に瀕しています。200万円がないばかりに不渡りを出しそうなのです。モテモテ男の中部周平は会社でも信頼されており、金策ため小助と一緒に大阪の興和玩具に行くことになります。BG(Business Girl 当時会社勤めをする女性をこう呼んでいた)にどうしてもなりたいいさみは、金策がうまく行ったら雇ってもらうと勝手に決めていました。三人は寝台特急の食堂で中部の大学時代の友人に会います。彼はガスの研究をしていますが、画期的な発明になりそうです。いさみはそれをXYZガスと名付け、玩具に応用できないかと考えます。中部はそれにヒントを得て、アイデアを練りますが、そこにいろいろな騒動が勃発します。中部は男気と正義感で周囲を少しずつ動かしていきます。 見どころ 源氏鶏太の持ち味、サラリーマンたちのゆかいな生き様が生き生きと描かれています。主演の中部(石原裕次郎)がだれにでも好かれるモテモテ男という設定です。日活の看板スターなので営業上やむを得ないのでしょうが、すこしもの足りなくも感じます。実際には、そこまでうまくはいかないだろうという感じるところが多々あります。ただ、これが源氏鶏太の人物像の基本なので、原作に忠実であるとも言えます。 「英語屋さん」 でもふれたように、源氏鶏太は善意の人々、人間の温かい部分に焦点を当てています。たとえば、藤村有弘が演じる興和玩具支店長は中部の金策を阻むべく画策しますが、悪意は感じられません。むしろ、中部の才能を買っていて、興和玩具に引き抜こうとしています。中部にほれているバーのホステス弘子(中原早苗)はい...

ほのぼのする映画 ともだち (1974) 松田優作出演

親子で見てほしい映画「ともだち」 1974 年 ( 昭和 49 年 ) 公開の児童向けの映画です。もう 50 年近くになるんですね。わたしは、本作が公開された頃は全く映画というものに関心がありませんでした。おそらく、夏休みのような長い休みの時に、たまたま NHK の教育テレビ ( 今の E テレ ) で放送されたのを観たのでしょう。子供心に感動したことを覚えています。その後、ずっとこの映画のことは忘れていました。 50 歳近くになってふと、そう言えば小さい時に「ともだち」っていう映画を観たなあ、と記憶に蘇ってきました。そして、もう一度観たいと思ったのです。この児童向けの映画、子供に思いやりや優しさの大切さを教えています。親子で見てほしい作品です。 概要 監督 沢田幸弘 主演 阿部仁志  ( 松村新太 )   1979 年ドラマ「俺はあばれはっちゃく」に出演 出演 鈴木典子  ( 斎藤良子 よしこ )  芸歴としては本作のみの模様    松田優作  ( 小松・新太の父がやっている仕出し屋で働いている ) 当時 24,5 歳          デビューの翌年    原田美枝子  ( 新太の姉 )  デビュー前に「勉強のために」出演 当時 16 歳    下川辰平、牟田悌三、地井武男、など あらすじ 新太は小学 6 年生、サッカーの選手になることを夢見ています。岩手から転校してきた良子の隣になりますが、とても嫌がっていました。良子は川崎に来てから気管支喘息になってしまい、それが原因で仲間外れにされています。新太は、そんな良子のともだちになってあげようと決意します。サッカーばかりしている新太ですが、「通知表で 5 を体育以外で 2 つ以上取ったら、何でも聞いてやる」という約束を両親から取り付けます。新太は猛勉強を開始し、良子を家に招いてもらおうとします。両親は新太の願いを知ると、風評を恐れ良子を家に呼ぶわけにはいかないと言い出します。親のあまりの理解のなさに新太は怒り狂います。しかし、新太の病気や良子の健気さが、少しずつ大人たちを変えていきます。新太はまだきれいな海を見たことがないという良子と夏休みに九十九里浜で泳ごうと約束します。良子はそれを楽しみにするが・・・ 記憶に蘇った映画に再び出会う この映画、映画館だけでなく、学校でも上映されたようで...

比べなくてもいい

バイブルの言葉   「人と比べて喜ぶのではなく、自分自身のことを喜びなさい」 という一節がバイブルにあります。ガラテア 6 章 4 節です。パウロがガラテアというローマの属州 ( いまのトルコの中央部 ) にあったいくつかの会衆に宛てて書いた手紙の一文です。簡単に言えば、「他の人と比べなくてもいい。自分のしたこと、できることを喜びなさい」ということです。人は他の人と比べて一喜一憂する習性があるので、それを戒めているのです。 社会全体に広くみられる  人と比べることはあたりまえになっています。あの人は自分より収入が多いとか、少ないとか、地位が高いとか、低いとかです。比べて自分のだいたいの位置を知る程度ならいいのですが、それが優越感になったり、ねたみを抱いたりするようになります。  他の人たちを比較するというのも無意識によくしていることです。親が上の子と下の子を比較して、上の子はおとなしくて聞き分けがいいけど、下の子はうるさくて手に負えないなどと笑いながら話しています。子供が目の前にいるのにお構いなしです。その子は同じように父親と母親を比較するようになります。  学校でも競争がふつうにあります。テストの点数、走るタイムなどはあたりまえです。ルールを破った回数なども数えている教師がいるかもしれません。このような数字が生徒にとって励みになればいいですが、たいていは上下をつけることになり競争をあおっていきます。わたしの通っていた高校は進学校だったので、テストのたびに上位者の氏名と点数が張り出されていました。ご丁寧に各科目だけでなく、主要三科目、主要五科目と集計したものまでです。目的ははっきりしています。点数が上がれば名前が載るぞ、○○でもあれだけ取っているぞ。おまえならがんばればもっと取れるはずだ、と競争心を煽るのです。  これは社会に出てもありますね。獲得した契約数や売り上げなどが張り出されているのを見ることがあります。もちろん会社同士でも競争している訳ですが、個々の労働者もいくら売り上げているか、お金で比較されているのです。その最たるものが、オリンピックのような競技会でしょう。出場資格を得るだけでもかなりのレベルのはずですが、そんな高いレベルの選手たちが競うわけですから、期待されていてもメダルに到達しない選手たちの方が多くなります。その結果で手厳しい批...

源氏鶏太「英語屋さん」戦後の混乱期を生きるサラリーマンのユーモアとペーソス

忘れてほしくない作家・源氏鶏太 近年、あまり注目されていないけど、何となく忘れてほしくない作家がいます。 そういう作家の一人が源氏鶏太です。 毎日新聞社「昭和史 第14巻」より。, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15136479による 今回は、その源氏鶏太の代表作のひとつ 「英語屋さん」 を紹介します。 角川文庫 「初恋物語」に収録  1951 年 ( 昭和 26 年 )  本作と『台風さん』『御苦労さん』によって著者は直木賞を受賞しています。  「英語屋さん」の あらすじ 「英語屋さん」の茂木さんは 57 歳。奥さんを戦争中に亡くしています。英語の実力はあるものの、会社では嘱託にすぎません。だれに対しても挑むような態度で質問し、かみつくため敬遠されています。風間京太 ( 彼は本作以外にも登場してくるシリーズの中心人物で、本作も彼の視点で書かれています ) もそんな茂木さんを「いやな爺さん」と思っていたのですが、申請書の英訳と通訳をしてもらって茂木さんを見直します。そのときのやり取りから、京太は無理やり茂木さんの子分にされてしまいます。茂木さん行きつけの飲み屋「平六」で親分子分の盃を交わすのですが、茂木さんはとても喜んで、飲みながら身の上話を始めます。しこたま飲んだ茂木さんは、ひとりでは帰れなくなり、京太が送っていくことになります。しかし、京太は茂木さんの家を知らないため、色っぽい未亡人のおかみが同乗していくことに …  ( これから本作をお読みになりたい方はここから「著者について」にジャンプしてください )  実は、おかみは戦後、生活に困っていた時期に、茂木さんの家に住まないかと誘われたことがありました。その話は茂木さんの失礼な言い方によっておじゃんになってしまいます。さて課長待遇の尾田さんが茂木さんとはちがうタイプのサラリーマンとして登場します。その尾田さんは平六で茂木さんと喧嘩をします。茂木さんは、椅子から落ちて頭にけがをしてしまいます。尾田さんは茂木さんとは対照的に鷹揚な人柄で人望があります。そんなふたりが平六でおかみさんに気に入られようとして、相手の悪口を言いだして、見苦しい言い争いになったのです。見舞いに行った京太に対して茂木さんは、おか...